マテリアルリサイクルとは
概要
マテリアルリサイクルとは、使用済みのプラスチック製品を廃棄物として処理せず、破砕・洗浄・溶解などの物理的な処理を経て、再びプラスチック製品の原料として再利用するリサイクル手法のこと。
「材料(マテリアル)」の状態でリサイクルすることからこう呼ばれる。欧米では、化学的な処理を行わないことから「メカニカルリサイクル(機械的リサイクル)」と呼ばれることが一般的である。
処理の仕組みと流れ
基本的なプロセスは、回収された廃プラスチックを選別し、不純物を取り除いた上で細かく砕き、熱で溶かして「ペレット(粒状の樹脂原料)」や「フレーク」に加工する。これを原料として、新たな製品を成形する。
- 回収・選別: 異物(金属や汚れ)や異なる素材を取り除く。
- 破砕・洗浄: 細かく砕き、汚れを洗い落とす。
- 溶融・造粒: 熱で溶かし、ペレット状(粒状)にする。
- 成形: 新しい製品の形にする。
マテリアルリサイクルの種類
再生された製品の品質や用途によって、大きく2つに分類される。
① レベルマテリアルリサイクル(水平リサイクル)
使用済みの製品を、再び同一種類の製品に戻すこと。
- 例: 使用済みペットボトルを、新しいペットボトルの原料にする(ボトルtoボトル)。
- 特徴: 高度な選別・洗浄技術が必要だが、資源循環の理想的な形とされる。
② カスケードリサイクル(ダウンサイクル)
元の製品よりも品質やグレードを下げた別の製品に利用すること。プラスチックは熱を加えて再加工するたびに強度が下がるなど劣化するため、多くのマテリアルリサイクルはこの形態をとる。
- 例: ペットボトルを、衣類の繊維、卵パック、食品トレー、公園のベンチなどに加工する。
- 特徴: 最終的に劣化が進むと再度リサイクルすることが難しくなり、最終的には焼却・埋立処分されることが多い。
メリット
- 環境負荷の低減: 新しい石油資源を使わずに製品を作れるため、資源枯渇の防止につながる。
- 可視化しやすい: 「集めたごみがベンチになった」など、消費者にとってリサイクルの成果が分かりやすい。
課題・デメリット
- 品質の劣化: 加熱と成形を繰り返すことで樹脂の分子が切れ、強度が落ちたり変色したりする(熱履歴)。
- 厳しい選別が必要: 種類の違うプラスチックや汚れが混入していると、再生品の品質が著しく下がるため、単一素材で汚れていないものが求められる。
- コスト: 洗浄や異物除去に手間がかかり、新しいプラスチック(バージン材)を作るよりもコストが高くなる場合がある。








