SDGsの取り組みを「働き方・キャリア」から考えてみよう

SDGsの取り組みというと、「エコバッグを持つ」「食品ロスを減らす」といった家庭でできることをイメージしますよね。でも実は、1日の大半を占める「働く時間」こそ、SDGsと深くつながっているんです。
通勤方法、働く場所、職業の選び方、職場での習慣——これらすべてが環境や社会への影響と無縁ではありません。
この記事では、「働き方・キャリア」という切り口から、今日から意識できるSDGsの取り組みを紹介していきます。
SDGsと「働き方」は切り離せない関係にある
なぜ働き方がSDGsに関係するの?
SDGsの17の目標のうち、働き方に直接関連するのが目標8「働きがいも・経済成長も」です。
ただ、それだけではありません。
・通勤によるCO2排出(目標13:.気候変動に具体的な対策を)
・職場でのエネルギー消費(目標7:7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに)
・ジェンダー平等な雇用環境(目標5:ジェンダー平等を実現しよう)
・地域経済への貢献(目標11:住み続けられるまちづくりを)
このように働くという行為は、複数のSDGs目標と同時につながっています。
「家庭でできることはやっている。でも、もう一歩踏み込みたい」と思っている方にとって、働き方の見直しは非常に大きな変化をもたらすポイントになりますよ。
個人の働き方が社会に与える影響の大きさ
日本の温室効果ガス排出量のうち、運輸部門は約18%を占めています。
参照:国土交通省データより
https://www.estfukyu.jp/pdf/2013tohoku/01_unnyukyoku.pdf
その多くが通勤・業務移動です。
毎日1時間かけて車通勤している人が、自転車や公共交通機関に切り替えるだけで、年間のCO2排出量を大幅に削減できます。
「個人の通勤なんて…」と思いがちですが、数百万人が同じ行動をすれば社会規模の変化になるんです。
通勤・移動の選択がSDGsに直結する理由
テレワーク・フレックスを環境貢献に変える視点
コロナ禍で一気に普及したテレワーク。「元に戻りつつある」という声もありますが、テレワークを続けることはれっきとしたSDGsの取り組みです。
週3日のテレワークを実践した場合、試算によると通勤によるCO2排出を年間で約150〜200kg削減できるとも言われています。
さらに、
- 昼食を自炊できるため食品ロス・包装ごみが減る
- 空調・照明の個人最適化でオフィス全体の電力消費が下がる
- 通勤時間が減り、心身のゆとりが生まれる
といった副次的なメリットもあります。
フレックス制度も同様で、ラッシュ時間帯を避けた移動は電車の混雑緩和・運行本数の見直しにもつながっていきます。
会社の制度として定着させていくためにも、「テレワークを続けたい理由」として環境貢献の視点を職場で共有してみるのも一つの取り組みですよね。
通勤手段そのものを見直してみよう
「テレワークは無理」という職種の方も多いと思います。そんな場合は通勤手段の見直しが効果的です。
- 自転車通勤:「排出ゼロ」と「健康維持」の一石二鳥
- 公共交通機関への切り替え:車通勤と比べてCO2を大幅削減
- カーシェア・相乗り:複数人で移動することで排出量を分散
毎日のことだからこそ、通勤手段の変化は積み重なって大きな差になります。
「少し早起きして自転車にする」という小さな選択が、年間を通じてSDGsへの着実な貢献になるんです。
「どこで働くか」がSDGsを動かす
地方移住・地域貢献型の仕事という選択肢
近年、地方移住と仕事をセットで考える動きが広がっています。
都市部への人口集中は、エネルギー消費・インフラ負荷・土地利用の観点からもサステナビリティの課題と直結しています。
地方でリモートワークをしながら暮らすことは、
- 都市のエネルギー負荷の分散
- 地方経済の活性化
- 自然環境に近い暮らしによる消費の変化
といったSDGsへの貢献につながります。
「移住は難しい」という方も、ワーケーション(旅行先でのリモートワーク)から試してみることができますよ。
地域の食材・文化・人とふれあう体験が、SDGsへの感覚を豊かにしてくれます。
地元の小規模事業者を選ぶ消費×仕事の循環
「どこで働くか」だけでなく、どんな事業者と仕事をするか・消費をするかもSDGsに関わります。
大手チェーンではなく地元の小規模店舗を選ぶことは、
- 地域経済の循環を生む(目標11:住み続けられるまちづくりを)
- 輸送距離の短縮によるCO2削減(目標13:気候変動に具体的な対策を)
- 生産者・事業者の顔が見える安心な取引(目標12:つくる責任、つかう責任)
に貢献します。
フリーランスや副業をしている方であれば、発注先・協力先として地域の事業者を優先するという視点を持つだけでも、働き方とSDGsをリンクさせられますよ。
キャリア選択そのものをSDGsに結びつける
「社会貢献型」の仕事・副業を探してみよう
「今の仕事がSDGsに関係あるのかな…」と感じている方もいるかもしれません。
でも実は、ほとんどの仕事は何らかのSDGsと関連しています。
たとえば、
- 教育・保育:目標4「質の高い教育をみんなに」
- 医療・福祉:目標3「すべての人に健康と福祉を」
- 農業・食品加工:目標2「飢餓をゼロに」+目標12
- 建設・不動産:目標11「住み続けられるまちづくりを」
- IT・デジタル:目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
今の職種を「SDGs目標のどれと関連しているか」という視点で見直してみると、仕事への意味づけが変わるかもしれませんね。
また、転職やキャリアチェンジを検討している方は、社会貢献性を軸に職場を選ぶという選択肢も出てきます。「やりがい×SDGs」で仕事を選ぶ時代になってきているんですよね。
スキルをシェアしてSDGsに貢献する方法
本業とは別に、自分のスキルをNPOや地域団体に提供するという取り組みが注目されています。
「プロボノ(Pro Bono)」と呼ばれるこの活動は、専門的なスキルを持つ人が社会貢献活動に無償またはリーズナブルな価格で貢献するものです。
たとえば、
- デザインができる人:地域のイベントやNPOのチラシ・SNS素材を制作
- ITに詳しい人:小規模団体のWebサイト構築・デジタル化支援
- 語学が堪能な人:外国ルーツの子どもたちへの学習サポート
- 会計・法律の専門家:NPOの経営・法務のアドバイス
週末の数時間や月に1〜2回から参加できるプロボノのプラットフォームも増えているので、「副業でSDGsに貢献したい」という方にぴったりの取り組みです。
自分のスキルが誰かの役に立ち、社会課題の解決にもつながる——そんな働き方ができたら、とても豊かですよね。
職場の文化をちょっとずつ変えていく取り組み
ペーパーレス・節電を習慣にするチームの作り方
個人でSDGsを意識していても、職場の文化が変わらないと限界を感じてしまいますよね。大切なのは、一人でやり切ろうとせず、チームの習慣にしてしまうこと。
まずは小さなところから始めてみませんか?
- 会議資料をペーパーレス化する提案をする
- 離席時のPCスリープ・電源オフをチームのルールにする
- 社内の不用品をフリマや寄付につなげる仕組みを作る
- ゴミの分別ボックスを設置してラベルを貼る
「私一人では変えられない」と思っていても、小さな提案が職場文化のきっかけになることは少なくありません。
「環境のために」というよりも、「コスト削減に」「業務効率化に」という文脈で提案すると、受け入れられやすいのもポイントです。
無駄な会議・出張を減らすことの環境効果
「この会議、必要だったかな…」と感じた経験はありませんか?会議の回数・時間・移動を見直すことも、れっきとしたSDGsの取り組みなんです。
たとえば、
- 不要な出張をオンライン会議に置き換える:飛行機・新幹線移動のCO2を削減
- 社内移動を減らすチャットツールの活用:印刷・移動コストの削減
- 定例会議をゼロベースで見直す:残業削減→電力消費の削減
「業務改善」と「環境貢献」は実は同じ方向を向いていることが多いんです。
「効率化することがSDGsになる」という視点を持っておくと、職場で提案しやすくなりますよ。
また、出張が必要な場合は新幹線を選ぶ、カーボンオフセットのある移動手段を選ぶという工夫もできます。
仕事を通じて「消費・購買」にもSDGsの視点を
職場の備品・消耗品をエコ選択に切り替える
職場で購入するものは家庭と比べてスケールが大きいだけに、エコ選択の効果も大きいです。
- 再生紙・FSC認証紙への切り替え
- 環境ラベル付き洗剤・消耗品の導入
- 長寿命LED照明・省エネ機器への更新
- フェアトレードのコーヒー・お茶をオフィスに導入
「購買担当でないと変えられない」と思うかもしれませんが、まずは「こんな選択肢がありますよ」と情報を共有するだけでも一歩になります。
職場に「エコ委員会」や「SDGs担当」の役割を提案することも、組織全体の取り組みにつながりますよ。
採用・組織文化からSDGsを育てる視点
採用や人材育成に関わる方であれば、職場そのものをSDGsの体現の場にするという視点が持てます。
- 多様な人材が働きやすい制度設計(目標10「人や国の不平等をなくそう」)
- 育休・介護休暇が取りやすい職場環境(目標5「ジェンダー平等を実現しよう」)
- 障害のある方・外国籍の方が活躍できるインクルーシブな組織づくり
「うちの会社にはSDGsは関係ない」と思っている方も、働く人を大切にすること自体がSDGsの実践なんだと気づいてもらえたら嬉しいです。
まとめ:仕事を通じてSDGsに関わる時代がきている
働き方・キャリアという視点からSDGsの取り組みを整理すると、こんなポイントが浮かび上がってきます。
- 通勤手段・テレワークの選択がCO2削減に直結する
- どこで・誰と働くかが地域経済や環境に影響する
- スキルのシェア(プロボノ)でSDGsに直接貢献できる
- 職場の小さな提案がチームや組織の文化を変える
- 備品・採用・制度設計にもSDGsの視点を持てる
家庭でのエコ習慣と並んで、「仕事の時間」を意識的にSDGsと結びつけることで、1日のうちに関わるSDGsのボリュームは格段に増えます。
「副業で社会貢献したい」「転職先にSDGsを軸にしたい」「職場の文化を少し変えてみたい」——どれも立派な第一歩です。
完璧にやろうとせず、今日の仕事の中に一つ「SDGsの視点」を持ち込んでみるところから始めてみませんか?








